この物語
比叡山は麓から始まっている
10月24日の「国宝めぐり」に向けて、比叡山延暦寺へ下見に行ってきました。
JR比叡山坂本駅を降りて左へ。
比叡山に向かって歩きはじめます。
山に近づくにつれ、穴太積みの石垣と紅葉の美しい世界が広がり、聖地の空気が漂いはじめます。

ここは私の推し参道のひとつ。
延暦寺の鎮守社である日吉大社へと続く参道でもあります。
「ああ、いいところに来たなあ」と、足を止めたくなる風景です。
山に登る前から、神仏が共にある世界へ ― 自然に誘われる導線。
この坂本界隈には、滋賀院門跡、旧竹林院、日吉東照宮、日吉大社・・・見どころが尽きない!!
この界隈は11月の「国宝めぐり」で堪能しますので、今回は寄り道を我慢して、ケーブル駅へ向かいました。
ケーブルに乗って山上へ。
駅を降りると、思わず息をのむ景色が待っています!

眼下に広がる琵琶湖。
神さまの目線を借りたような気分で、日本一大きな湖・琵琶湖を見渡せます。
あぁ超越感……。
到着間なしで清められました。
もう下山してもいいくらい満足……。
ちゃうちゃう、ここからや~ん
10年をかけて、根本中堂が蘇る
東塔へと向かう参道では、遠くからゴーンゴーン……と、鐘の音を聴きながら、歩を進めます。
そう、ここは日本仏教の母山・比叡山延暦寺。
最澄が開いた比叡山・延暦寺の東塔です。
東塔では、なんといっても今回、皆さんとぜひ見たいのが、根本中堂の大改修です。
2016年からはじまった大改修工事。
この修復には、株式会社さわの道玄も携わって参りました。

修復中にぜひ、延暦寺の講座を開講しようと思いつつ、早10年。
延暦寺では、開かれた修復現場として、修学ステージが設けられてきたのですが、それも年内(2026年)まで。
完工予定は2030年。まだ4年もありますが、もう修復現場は見られなくなる。
今しかない・・・!と焦って開講します!
ところが屋根は、黒く蘇る?!
今回、私がいちばん驚いたのは、根本中堂の屋根でした。
以前の姿をご存じの方は、山の景色に溶け込む緑青をまとった屋根を思い浮かべるのではないでしょうか。
ところが今回、屋根は黒くよみがえります。
調査で古い銅板から黒い塗料の痕跡が修復途中で見つかり、かつての姿に近づけるため、方針転換し、黒く仕上げることになったのです。
下見のとき、裏側はすでに全面真っ黒。皆さんが修学ステージからご覧になる正面側は、ちょうど黒く塗っている最中になると思います。

見慣れた姿が、昔からの姿とは限らない。
修復の途中で、建物の歴史がまた一つ見えてくる。面白いですね。
美しく蘇る、その裏側にある仕事

そして、軒下には大きな蟇股が!
動物や植物の彫刻が、豊かな立体の世界をつくっています。ひとつひとつ可愛い豊かな動物たちに、つい見入ってしまいました。
塗装や彩色の修復を担う株式会社さわの道玄では、こうした彫刻に残る色や痕跡を丹念に調べ、手描きの図に記録しています。
今、目の前にあるものを見つめ、記録し、次の修理を担う人へ渡す。
美しくよみがえった姿の奥には、そんな仕事も重ねられています。
延暦寺根本中堂は、他の社寺と比べても、かなり独特な技術が用いられているのです。そこが興味深い。
何がどう独特か?!それは24日のおたのしみ。
当日は、修復に携わってきた私の目線や10年分の修復秘話を添えながら、皆さんとじっくり完成を楽しみに、修復現場を眺めたいと思います。
ゆっくり味わうことにしました(^^)
お昼は、琵琶湖を望む展望レストランへ。

下見の私は、「マーボー丼はのこり1つ!」の声に思わず、「ほな、それ!」と注文。
結構コショウが効いてヒーハーしましたが、美味!

景色目当てのつもりが、お食事もおいしくて、うれしいひと休み。
当日は皆さんでこちらに入り、お好きなメニューを選んでいただきますね。
2年前に比叡山に来たときは、東塔・西塔・横川、しかも黒谷青龍寺まで!全部1日で周ったのですが、今回は、あらためて、東塔・西塔を回り・・・
結構疲れました(笑)。
この2年で私は老けたのか?!
そうかもしれない。
…とにかく、東塔だけでも、足を止めて見たいものがたくさん。
今回は、お話しながら歩くこと、皆さんの足取りも想像し、東塔に絞った方がよさそうだと、あらためて判断しました。
といわけで、東塔の堂宇と国宝殿の仏像をじっくり味わいましょう!

国宝殿では、秋季企画展「知りたい!!比叡山のほとけ様」が開催されていますので、ラストは比叡山に伝わる、ちょっとディープなほとけ様の世界に触れますよ。
10月24日(土)は、10時から昼食を挟んで14時頃まで。回数券は1回分でご参加いただけます。拝観料・昼食代・交通費は別途必要です。
終了後は自由解散。
もう少し山を楽しむ方は西塔、横川へ。
帰路につく方は、京都駅直通バスも便利です。
それぞれのペースで楽しめますように。
この秋、比叡山延暦寺を、一緒に味わいましょう。
国宝めぐり
| 『国宝』の魅力がよくわからない、単に訪れるだけでなく、深く味わってみたい方へ。 見る眼をもって『国宝』を鑑賞すると、これまで見過ごしてきた価値観や美意識に出会うことができます。知っているようで知らない日本の姿、その奥に流れる技と心。『国宝』は新しい発見に満ち溢れています。 |

語り手

文化浴の森 主宰|文化浴提唱者
澤野友映(さわの ともえ)
文化財修復の家に生まれ、自らも事業にかかわりながら、2006年より、のべ約1万人に文化財の物語を届けてきました。
その経験のなかで、文化財には人の心身を調える力があることを実感し、「文化浴」と名づけた営みを続けています。
それぞれの歩幅で人生が豊かになるように、文化浴の体験と学びを提供しています。プロフィールを見る→
開催のご案内
- この秋、ちょっとディープな比叡山延暦寺を味わいませんか?紅葉が色づきはじめる東塔をめぐります。年内で公開終了予定の修学ステージから、根本中堂の大改修を見学。琵琶湖を望む絶景レストランで昼食を楽しみ、堂宇と国宝殿の仏像をじっくり味わいます。
- 時間:09:20~14:00頃
- 集合:ケーブル坂本駅改札口
- 解散:比叡山国宝殿前
- 歩行距離:約4km
※境内には坂道・石段があります。歩きやすい靴でご参加ください。 - 講師:澤野友映
参加費:3,500円(回数券1回分)
※実費別(諸堂巡拝料1,000円 + 国宝殿500円 + 坂本ケーブル片道960円 + 昼食代1,100円~)
※本講座は文化財ストーリーテラー養成コースの一環として実施していますが、ご関心のある方はどなたでもご参加いただけます。初めての方でも安心してご参加ください。
※イヤホンガイド付きで実施しますので、聞こえづらいことはございません。
※回数券をご利用の場合は、1回あたり3,000円となります(回数券18,000円【6回分】1年間有効)
この「めぐる」をリクエストしませんか?
開催終了後も、ご希望の日程や人数に応じて再開催できる場合もございます。
※写真の一部は「京都フリー写真素材」様の素材を使用しています。

