日本の女帝 190119 第96号
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平成31年1月19日(土)第96号
* 思わず行ってみたくなる♪文化浴情報
■日本の女帝
最近「女帝」といえば、芸能界や夜の世界に君臨する女性をそう呼ぶが、かつて女帝といえば女性天皇のことだった。古くは「じょてい」ではなく「にょてい」と呼んだ。
一般にはあまり知られていないが、日本には過去に10代(8人)の女帝が存在する。
第33代推古(すいこ)、第35代皇極(こうぎょく)、第37代斉明(さいめい)、第41代持統(じとう)、第43代元明(げんめい)、第44代元正(げんしょう)、第46代孝謙(こうけん)、第48代称徳(しょうとく)、第109代明正(めいしょう)、第117代後桜町(ごさくらまち)の10代となる。
33代~48代は飛鳥・奈良時代、109代と117代は江戸時代である。二度即位することを重祚(ちょうそ)というが、35代と37代、46代と48代は重祚で、実際には8人の女帝が存在した。日本史上、重祚した天皇はこの2人だけで、男性の重祚はない。
8人に共通していることは、独身(未亡人か未婚)で即位していること。女性天皇ではあるが、女系天皇ではないということ。
女系天皇とは、天皇の女の子が新天皇(男系の女性天皇)となり、結婚して生まれた子が即位すれば、男子であろうと女子であろうと女系天皇となる。
彼女たちは先代天皇の皇后が天皇崩御後に即位したか、あるいは皇女(内親王)。次の皇子の成長を待つ間の「中継ぎ的な役割」だったといわれる。
■第117代 後桜町天皇
有名ではないが、最後の女帝は江戸後期の後桜町天皇。義弟である先代の桃園(ももぞの)天皇は22歳で早世し、先代が残した皇子が成人するまでの中継ぎとして即位した。皇子(後桃園天皇)が13歳になると退位したが、はたまた後桃園天皇も22歳で早世。
そこで、皇位継承の控えとして備えていた傍系の親王家、閑院宮家から迎えたのが119代光格(こうかく)天皇である。光格から120代任孝(にんこう)、121代孝明(こうめい)、122代明治・・・そして今上天皇へと血筋が繋がる。
後桜町天皇は中継ぎの典型だったが、覚悟して生涯独身を貫き、後桃園天皇と光格天皇を育て上げ、その役割を果たした。唯一日記が残る女帝であり、文才豊かで、1580首もの歌が残る和歌の達人だった。
天明の飢饉の時には、生活苦の庶民が京都町奉行所(幕府)に救済を何度も訴えたものの放置されたため、苦肉の策で皆は御所に賽銭を投げ入れながら、周辺をデモ行進したという。
多い時で5万人。そのとき後桜町天皇は老若男女身分の差なく、リンゴを配ったという。そんな後桜町天皇の動きが世間を動かし、後に朝廷の発言力を高め、尊王攘夷や倒幕の流れへと繋がるのである。
■明治以降
今上天皇(今の天皇)は第125代で、大和朝廷確立辺りまでは実在しなかった天皇もあることを考えると、約1割が女帝ということになる。約1割。決して少ない数ではないと思う。しかし明治以降は皇室典範によって認められなくなった。
自由民権運動の中で数多く作られた憲法草案には、女帝を認める案もかなりあったそうだが、大日本帝国憲法制定に携わった井上毅や伊藤博文らは、天皇の血統は男系・男子でつながっているところがすばらしい「万世一系」だと説いた。
また、女帝が結婚すれば、夫が前面に出て政治に干渉しかねない。女性に参政権を認めていないのに、女帝として最高権力を認めてしまうのはおかしいとした。
その代わり、皇位継承者がいない事態に備えて、皇后以外の女性との間に生まれた男子(庶子)は継承者として認めることにした。しかし戦後は、皇室にも一夫一婦制が導入され、「庶子」は認められなくなった。天皇継承のハードルは高まるばかりである。(「これならわかる天皇の歴史」歴教協編 大月書店参考)
皇族は職業選択の自由は無く、結婚も自分だけの意思で決めることができず、基本的人権はない。
■生涯独身
今は自ら好んで独身を貫ける時代だが、生涯独身を強制されたら・・・と思うと切ない。生涯独身を貫いた最後の女帝にも、密かな想いがあったと偲ばれる切ない歌がある。
頼めおきし 人を待つ身の 夜ごろかく 積もる思いを いかでしらせむ
(頼りにしている人を待つ私の夜ごとに積もるこの気持ちをどうやって知らせたらいいのでしょうか)
というわけで・・・、続きは現地で♪さぁ、本日の午後は後桜町天皇縁深き青蓮院を満喫しに参りましょう♪
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