文化財の名称:東福寺 本坊庭園 小市松模様の庭
文化浴の種類:庭園浴 寺院
所在地:京都市東山区本町15―778
アクセス:JRまたは京阪電車「東福寺」駅より徒歩約15分
東福寺は臨済宗東福寺派大本山の寺院。
その中にある本坊庭園のなかの庭園のひとつ(北庭)。
この本坊庭園は枯山水式の禅院庭園で、1939年に作庭家の重森三玲によって完成されたもの。鎌倉時代庭園の質実剛健な風格を基調とし、現代の芸術の抽象的な構成を取り入れた表現となっている。
広大な方丈には東西南北に四つの庭が配されており、釈迦成道を表現し、東福寺方丈「八相の庭」と称されていましたが、2014年に国指定名勝に登録されたことで「国指定名勝 東福寺本坊庭園」と改名しています。
この北庭は恩賜門内に敷かれていた敷石を再利用し、石と苔を幾何学的な市松模様に配しています。
滞在時間の目安:20分
【余韻に浸る小市松模様の庭園】
-こんな時に訪れてみよう!- (清らかになりたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (清らかになりたい)
友人から誕生日プレゼントに一冊の本をもらいました。
【仕掛けに感動する「京都名庭園」】
庭園デザイナーの烏賀陽百合さんの著者。
一気に読みました。
庭園の美しさはもちろん、作り手の意図や仕掛け。
知って眺めるのと、知らずに眺めるのとではまた捉え方感じ方もまったく違うのだろうな、とすべての庭園を訪れたくなりました。
その数日後、まずは一番気になった東福寺の本坊庭園へ。
東福寺へは一度訪れたことがあるけれど、その時は時間がなく本坊庭園は拝観できなかったので、あのとき見れなかった庭園が見れる!!とウキウキして向かいました。
前の3つの東、南、西の庭園を見てストーリーがあったからかもしれません。
北庭(小市松模様の庭)を見て、はぁぁ~っとため息がもれました。
ぷっくりした苔と落ち着いた四角の石のコントラスト。
苔の色のグラデーション。
奥にはきれいにつつじの花が咲いていました。
美しい・・・。
四角い市松模様なのに、モダンでありながら柔らかい印象も受けるのは、苔と石の組み合わせの妙なのでしょうか。
手前から奥に向かって徐々に市松模様が消えていくというのも、目線を奥にやるにつれ余韻が残って、飽きもせずにずっと眺めていられます。
前述の烏賀陽さんの著者で、このお庭を案内したヨーロッパの女性2人が別々な時にこのお庭を見て涙を流されたと記されていました。
私は涙を流すまではならなかったけれど、ちょっぴりその気持ちはわかる気がしました。
重森三玲さんはこのお庭を43歳の時に作庭されたそうです。
今年私はちょうど43歳。
今の私と同い年だった三玲さんが作った渾身のお庭が、今も人々に愛され続けているということ。
その苦労や喜びをこのお庭の美しさから垣間見るとき、私たちも自分の人生に重ね合わせるのでしょうか。
このお庭のようにシンプルでありながら奥深く、やわらかな余韻を残せる人でいたいとしばし見とれていました。
訪問日時:2018年5月27日 記:あやこ
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