文化浴ポイント京都編

 

文化財の名称:糺の森

文化浴の種類:庭園浴 神社

所在地:京都市左京区下鴨泉川町59

アクセス:京阪出町柳駅から徒歩5分

糺の森は東京ドーム2.6個分・・・12万4千㎡もの面積を有し、紀元前3世紀ごろの原生林と同じ植生が今に伝えられるほど、多くの命が共生する。

タダスは「只射」「直射」とも伝わる。これは、朝日が「只ひたすらに射す」「直射す」の意味がある。糺の森は、比叡山・四明岳に昇る夏至の朝日が「直に射し込む地」であるという。近くに3つの河が合流する三角州があるが、「只洲」「直澄」「河合」と書いてタダスとも読む。

また、奈良時代から平安時代にかけて、このあたり一帯は蓼倉郷と呼ばれていたほど、あのお刺身にちょこんと添えられる「蓼食う虫も好き好き」の蓼が生い茂っていた。だから「蓼の巣」⇒「タダス」と呼ぶとも。

今も近くに簡易裁判所があるが、糺の森は真相を「糺す」、偽りや秩序を「正す」そんな場であったともいわれる。

滞在時間の目安:30分

 
 

【タダスの聖地】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

わたしは糺の森には、神々がいるな~と感じます。

薬草から巨木まで、自然豊かなこの世界に八百万(やおろず)の神を感じるのです。

それはスピリチュアルや霊感というよりも、糺の森に受け継がれる文化遺産から、昔の人がこの地を貴び、神を感じ、信じてきた軌跡をなぞることで、湧き立つ感覚です。

人の手が入っていない自然とは違って、自然と人が織りなしてきた共生の美しさ。

きっとそれが、糺の森が世界自然遺産ではなく、世界文化遺産に認定されている魅力なのかもしれません。

古代の人々とおさんぽするように、そんなことを感じながら歩いていると、気づけば・・・心は澄み、希望が射しこんできたではありませんか♪

訪問日時:2020年7月19日 記:ともえ

 
 

文化財の名称:龍安寺 知足のつくばい

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都市右京区龍安寺御陵下町13

アクセス:京福電鉄 龍安寺駅下車 徒歩7分

方丈の北東に据えてある銭形のつくばい。

中央に四角く水をためる穴があり、それを口にみたて周囲に四文字。
口の上に「五」、右に「隹」、下に「疋」、右に「矢」。
これを上から時計回りに「口」をつけて読んでみると「吾唯足知」(われただたるをしる)となります。

禅語「知足」とは「足りることを知り、分に案ずること」とあり、中国の古典「老子」33章の中にある「知足者富」という一節が由来に。

このつくばいは徳川光圀公から寄進されたものと伝れられています。

滞在時間の目安:10分

 
 

【足りないことを受け入れる】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

20代の頃は、今の自分の年齢にはもう成熟した大人になっているもんだと勝手に思っていました。

ところがところが...

成熟どころか、日々いろんなことに迷ったりこんな自分じゃダメだと感じたりするのは昔となんら変わっていないようにも感じる時があります。

ただひとつ言えるのは、年を重ねるにつれて受け入れることができてきた、ということ。悪く言えばあきらめ、ともいうのでしょうか。

自分の欠点、他人の欠点、心ない言葉、考えの相違、自分の現実...挙げればキリがないけれど、それもひっくるめてそれが今の自分なのだということを受け入れることができている、ということ。

吾唯足知
足るを知る。

私の解釈としては、物事や自分の心の本質をきちんとわかっている人は幸せでたくましいではないか、という風に捉えています。
自分に足りないことをきちんとわかった上で、自分にできる最大限のことをする。

しとしとと小雨が降る中、このつくばいをぼんやり眺めて、そんなことを考えていました。
ふっと周りを見れば、そこは私1人の空間に。何て贅沢!
目を閉じて、雨とつくばいの水の音を聴きながら幸せな気分になりました。
今の自分もまたいいじゃないか、と慰められたような...。

訪問日時:2018年9月15日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:勧修寺 四国八十八ケ所霊石巡り

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都市山科区勧修寺仁王堂町27―6

アクセス:地下鉄東西線「小野駅」より徒歩7分

境内に真言宗の開祖、弘法大師像(修行大師尊像)があり、その石像の周りに四国八十八ヶ所のお寺の霊石が並べられています。

その石に一番~八十八番まで番号がふられていて、最後が高野山にあたります。

弘法大師像の周りを石を踏みながら一周すると四国八十八ヶ所の霊場巡りしたことに・・・!

滞在時間の目安:10分

 
 

【プチお遍路さん3分間の旅】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

もう少し年を取ったら、ぜひ本当の四国八十八ヶ所をひとつひとつ巡礼してみたいと思っています。

でも一足先に、その霊石巡りがこちら勧修寺でできました。

境内の林の中のとても静かな場所に弘法大師はいらっしゃいました。
石に札所の番号が一番からふられています。
まずはゆっくりと弘法大師様にご挨拶。

そして、石をひとつひとつ踏みながらぐるりと一周。
3、4分ほどでしたでしょうか。

1人静かな新緑の中での3分間は瞑想タイムとなり、つかの間のプチ【同行二人(どうぎょうににん)】を体験。
これを実際に八十八ヶ所巡礼を体験したなら歩きで50日前後かかるのだとか。車でも10日程度。

お遍路さんは山あり谷あり人生の縮図なんだろうな、と思います。
さて、今の私は何番札所くらいに向かって歩いているのかな・・・?

訪問日時:2018年5月19日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:相国寺 花頭窓

文化浴の種類:たてもの浴 寺院

所在地:京都市上京区今出川通烏丸東入

アクセス:京都市営地下鉄「今出川駅」より徒歩約8分

臨済宗相国寺派大本山である相国寺の表方丈庭園を望む花頭窓(かとうまど)。

花頭窓とは「火頭窓」や「架頭窓」とも書く。
禅宗寺院の建築とともに中国から伝わり、唐様建築に多く用いられる。
一般的に窓枠は黒漆塗で、上枠の形を灯明(火頭)、または花形(花頭)の形にしたもの。

相国寺では表方丈庭園の白砂敷きの枯山水庭園を窓から望むことができる。

また方丈は特別拝観時の時期しか見ることはできませんが、年に何度か季節ごとに特別拝観されています。(2018年春の特別拝観は3月24日~6月4日まで)

滞在時間の目安:10分

 
 

【眺めているだけで瞑想効果のある窓】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

花頭窓の黒枠とのコントラストで、白砂がキラキラと美しい方丈庭園を眺めることができました。

最初は庭園のシンプルで凛とした美しさと、窓の黒枠の形に目がいきます。
上の部分は確かに灯明の形にも花のような形にも見えましたが、私にはちょっと寸胴なソフトクリームの形に見えました!
あとは黒枠と白砂は陰と陽だな~、などなど・・・どんどん雑念がわいてきます。

雑念がわいてきながらも、そこで離れずに、じーっと窓の向こうを眺めていると・・・なんでしょうか。いつの間にか自然に白砂の1ヶ所だけを見つめていたと思います。
静寂の中で砂を見つめることに集中していき、言葉にできない不思議な感覚になってきました。

人がほとんどいなかったので、窓を占領できたというのもあると思います。

何分眺めていたのかわかりません。
もしかしたらたったの数分かも。
でもなぜかとってもスッキリ、心が落ち着いたのです。

見えるものを通して、見えないものを観る。
まさにそんな感覚でした。

訪問日時:2017年11月 3日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:知恩院 御廟

文化浴の種類:たてもの浴 寺院

所在地:京都市東山区林下町400

アクセス:市バス知恩院前から徒歩5分

法然上人の御遺骨をお納めしている廟堂。知恩院境内の中でも、ひときわ静かで穏やかな空気に包まれている聖地。春には桜が、秋には紅葉が美しい。

法然上人がお亡くなりになられる前に書かれた一枚起請文の真髄が染み渡る地。御廟には手前の拝殿から、京都市内を一望しながらお参りすることができます。

毎月、法然上人の命日25日に念仏会が行われています。

滞在時間の目安:10分

 
 

【ルーツを感じる聖なる空間】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

智慧の道を上り、さらに階段を上ると・・・聖なる法然上人御廟の拝殿が見えてきます。
ふんわりとお香の良い香りが漂ってきて、心が落ち着きました。

御廟に手を合わせると、周りの人の足音や話し声がふっと止んで、一瞬、静寂の時。

やはり特別な空間・・・。
自分がここにいることの実感がふと湧いてきて、胸にグッと染みるものがありました。
なぁんにも考えずに今ここにいることを感じるのみ。

そしてそのあとは、永く繋がってきた壮大な歴史に想いを馳せてみました。
時空を超えて、人それぞれ、何か伝わるものがある場所ではないかと思います。

訪問日時:2016年11月 3日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:染殿地蔵院

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都府京都市中京区新京極四条上中之町562

アクセス:阪急河原町駅から徒歩3分

京都の中でも最も賑わう四条新京極。その交差点には140年の老舗、京都甘栗「林万昌堂」があります。そして林万昌堂の奥の扉から外へ出ると、そこが染殿院。

ビルの谷間のオアシスとはまさにこのこと。人混みに疲れたあなたのために、ベンチが一つ。今は小さな世界ですが、天皇家や幕府、空海、夢窓疎石、一遍上人など、様々な身分や宗派を越えて、護持伝来されてきた染殿地蔵院。

小さな空間ですが、お堂の透かし彫りの美しい照明、提灯、織部燈籠や草花が出迎え癒してくれます。子宝を授けてくれるというご本尊の地蔵菩薩は秘仏。

滞在時間の目安:20分

 
 

【栗薫る・・・ビルの谷間のニュートラルオアシス】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

様々な宗派や立場に護られてきた染殿地蔵院。

いつの時代も何ものにも染まらず・・・静かに和やかに、時代の中心に佇む世界。ある時は清和源氏の源として、ある時は一遍上人の念仏踊の道場として、そして今は世界中の人が行き交う繁華街の中心で・・・。

ベンチに座って文化浴すると、何ものにも染まらないニュートラルな気分に。昼間からほの明るい提灯や透かし彫りの照明が幽玄。

お好み焼きのような香りがしてきたかと思うと、甘栗の薫りを乗せた風が前髪をそよぐ。四条商店会のBGMもちょうどよい。安産子授けの染殿地蔵尊が、草葉の陰から優しく見守ってくれているような気がする。

訪問日時:2016年9月30日 記:ともえ

 
 

文化財の名称:建仁寺 ○△□乃庭

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都市東山区大和大路四条下る小松町

アクセス:阪急河原町駅から徒歩15分 京阪祇園四条駅から徒歩10分

建仁寺はゆったりたとした空間から、様々なお庭を眺めることができます。

そのひとつ○△□乃庭は、その名の通り三つの形が隠されています。この単純な三つの形は宇宙の根源を示すそうです。禅宗では、四大思想(地水火風)を地(□)水(○)火(△)として象徴したとも言われます。

「柳田國男は三角のおむすびに日本人の心臓の形をみた。三角は死であり、山であり、火である。その山と山のあいだに母胎が潜む。山の端に月輪がのぼり、その光のなかに阿弥陀が立って、四角い田畑と村里をみおろす。月と山と里、この○△□のなかに日本文化が集約される」by篠田知和基著『日本文化の基本形○△□』

滞在時間の目安:10分

 
 

【ぽけ~っと無になる○△□】

-こんな時に訪れてみよう!- (無になりたい)

全方位から眺められるお庭。小さいながらもいろんな角度、違う景色を楽しめました。
まずはぐるっと一周。

禅のことはイマイチよくわからないけれど、とにかく○△□をそれぞれ眺めてみて、そして自分が気に入った場所に座ってぼけ~っと。私は真ん中の○の木に目がいきました。

言ってしまえば単なる小さな1本の木なのだけれど、波紋のような砂紋の○が美しく、吸い込まれます。
風が吹き、木をさわさわと揺らす音と、遠くから響く風鈴の音色がとても心地よい・・・まさにヒーリングミュージック。
日々の雑多なことをすっかり忘れ、何も考えずただぼけっとしました。

いつも気忙しく何か考えてる頭をひたすら空っぽにして、ただ風の音、お寺の古い木の匂いを感じながら。
短い時間でしたが、場所を離れるときにはなんだかスッキリ、いい意味で空っぽになりました。

訪問日時:2016年8月27日 記:あやこ&ともえ

 

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