【この記事のポイント】
・文化財修復の現場で抱いた「本当のお客様とは誰か」という問い
・修復だけではなく、文化財を未来へ受け継ぐために必要なこと
・文化浴という考え方が生まれた背景
・文化財が人生に寄り添う存在である理由
文化財のエンドユーザーって、誰なのだろう。
「私たちは、何のために文化財を修復しているのだろう」
その問いが心に芽生えたのは、父が会社の社是をつくった頃のことでした。
私は文化財修復業を営む家に生まれ、自らも修復の仕事に従事しました。
修復の現場には、優れた技術者がいて、文化財を守ろうとする人たちがいます。修復業の方、お寺や神社の方、行政の方……。多くの人の力が結集し、一つの文化財が未来へ受け継がれていきます。
だからこそ、こんな問いが心に浮かびました。
「文化財のエンドユーザーって、誰なのだろう」
それは、
文化財を訪れ、心を動かされる人。
そこで静かな時間を過ごし、人生が少し調う人。
その人こそが、文化財の本当の受け手ではないだろうか、と。
文化財は、修復されることで残ります。
けれど、未来へ活かされ受け継がれるためには、心から「この文化財があってよかった」と感じる人の存在が必要なんですよね。
どれほど立派に修復されたとしても、誰の心にも届かなければ、その価値は、本当の意味で、未来へ受け継がれていかないのかもしれない。
そう思った私は、文化財を活かす活動を始めました。

「文化浴」という名に込めた思い
20年以上、多くの方と文化財を歩く中で、私は何度も不思議な光景を目にしてきました。
表情がやわらぐ人。
歩き終えたあと、「心が軽くなりました」と話してくださる人。
ご主人を亡くされた女性が、「こうして歩いていると、主人も一緒に歩いている気がするんです」といわれたり。
こういった経験を沢山ご一緒して、私は改めて気づかされました。
文化財は、歴史を学ぶためだけの存在ではないんだということ。
人の人生に寄り添い、心を静かに支えてくれる存在でもあるのだと思います。
だから私は、文化財によって心身が潤うこの感覚を「文化浴」と名付けました。
お茶を飲みながら、もう少しこのテーマを味わってみませんか
もし今度、お寺や神社を訪れる機会があれば、その場所で心が何を感じるのか、少し耳を澄ませてみてください。
文化財は、何を語りかけてくれるでしょうか。
このようなテーマを、文化財ストーリーテラー田中ゆみさんと「文化財ストーリーテラーのお茶時間」で、お話ししています。
10分ほどのショートトーク。お茶を飲みながら、あるいは散歩のおともに、どうぞ気軽にお楽しみください。

あなたも文化浴を始めてみませんか。
文化財は、知識を増やすだけでは、その魅力を味わい尽くせません。
「見る目」が育つことで、いつもの神社やお寺が、まったく違って見えてきます。
まずは、無料のメール講座で、文化財を味わう第一歩を踏み出してみませんか。

