黄檗駅から5分ほど歩くと、萬福寺の総門です。
思わず足を止めてしまう。
左右に低い屋根を従えたデザイン、屋根の上には摩伽羅が口を開けています。その姿は、日本のお寺というより、中華街の入口そのものです。その向こうに流れる空気もまた、日本のものとはどこか異なって感じられます。
萬福寺は、江戸幕府から本来の禅思想を教示いただきたいと再三懇願され、中国・明から来日した隠元隆琦によって開かれました。読経には独特の節があり、法要には中国の儀礼が今も息づいています。
そして食事は、円卓を囲んで共にいただく普茶料理。それは、中国式の精進料理。中国から伝えられた食材や文化が、変わることなく守られてきました。
山門をくぐると、2024年に国宝に認定された天王殿、そして大雄宝殿、法堂と続きます。チーク材で造られた建物や赤枠の丸窓が異国の気配が漂います。天王殿で満面の笑みをたたえる黄金の布袋さん(弥勒菩薩坐像)には、日本によくある仏像とは一味違う陽気さに心が掴まれます。
口から煩悩の珠を吹く開梆(かいぱん)、柱聯(ちゅうれん)、卍崩しの勾欄(こうらん)、赤枠の丸窓、桃戸と呼ばれる半扉・・・目立たぬけれど、意匠の端々のデザインが静かに中国風なのです。そんな建築デザインから、日本らしさを知るきっかけにも繋がります。
ちょっと数時間、異国の風に吹かれる国宝の物語なのです。
国宝めぐり
時を越えて受け継がれてきた京都・滋賀・奈良に受け継がれてきた国宝を、二年をかけて巡る物語。
鑑賞の視点を手がかりに巡ることで、これまで見過ごしていた日本の美が、徐々に立ち現れてきます。
“かたち”に宿る“わざ”と“こころ”を見つめ、そこに凝縮された日本人の美意識や祈り、価値観を共に感じる物語です。

語り手

澤野友映|文化財ストーリーテラー/文化浴の森 代表
文化財修復の家に生まれ、15年間、社寺建造物の美術修復に従事。
文化財の内側から見てきた経験をもとに、「かたち・わざ・こころ」を語り伝えている。
日程開催の物語
この物語は、午前・午後を通して味わう一日の物語としてお届けしております。午前は平等院。午後は萬福寺。極楽をこの世に現そうとした平安の祈りと、禅の精神が息づく黄檗の世界を、一日かけて歩きます。
開催日:2026年2月28日(土)【終了】
時間:09:30〜16:00
集合:京阪宇治駅 改札口前
解散:京阪黄檗駅(JR黄檗駅)
参加費:7,000円(回数券2回分)
実費:1,000円(庭園・鳳翔館・鳳凰堂内部)
※本講座は文化財ストーリーテラー養成コースの一環として実施していますが、ご関心のある方はどなたでもご参加いただけます。初めての方でも安心してご参加ください。
※イヤホンガイド付きで実施しますので、聞こえづらいことはございません。
※回数券をご利用の場合は、1回あたり3,000円となります(回数券18,000円【6回分】1年間有効)
随時開催の物語
この物語は、ご希望の日程でリクエスト開催できます。平等院のみの物語、あるいは萬福寺のみの物語としてご案内することも可能です。静かに味わいたい方、京都の文化財を深く味わいたい方、研修やご旅行などで、グループでのご案内をご希望される方のための物語です。

