この物語
京都の奥座敷・三尾――。
高雄、槙尾、栂尾と連なる山あいには、古来、人々の祈りと美意識が静かに息づいてきました。今回は、初夏の新緑とともにその三尾をめぐる国宝文化浴。
高雄・神護寺は、和気清麻呂ゆかりの古刹。長い石段を登りきった先には、深山の静寂と、堂宇を包み込む青もみじの世界が広がります。
空海や最澄もこの地に招かれ、日本仏教の新たな風が吹いた場所。地蔵院前から望む錦雲渓は、秋だけでなく新緑の季節も格別!谷を渡る風に心まで洗われるようです。
槙尾・西明寺は、苔と木漏れ日の美しい寺。派手さではなく、静かな優しさに満ちています。私はここの門を額縁に見立てた景色が好きです。青もみじが風にそよぎ、石燈籠のあいだから初夏の光が差し込みます。
本尊の釈迦如来像は運慶作と伝わり、人々に語りかけるような温かな表情が印象的です。高野槙ともみじが織りなす風景は、古歌そのままの美しさです。
そして栂尾・高山寺。世界遺産にも登録されるこのお寺は、俗世を離れ、時空を越えさせてくれる場所です。鎌倉時代の名僧・明恵上人は、この地で自然と向き合い、夢を記し、思想を深めました。明恵さん遺愛の可愛い子犬の木像も見逃せません。実は、あの快慶作なんですよ。
鎌倉時代から、そのままの姿で残る国宝・石水院の広縁に座れば、向かいの山々が一幅の絵のように広がり、鳥の声と風の音だけが静かに響きます。鳥獣戯画で名高い寺ですが、その奥には、800年の時を物語る建築、日本最古の茶園や、自然と共に生きる精神文化が今も息づいています。新緑の栂尾は、まさに心を洗う文化の宝そのものです。
国宝めぐり
| 『国宝』の魅力がよくわからない、単に訪れるだけでなく、深く味わってみたい方へ。 見る眼をもって『国宝』を鑑賞すると、これまで見過ごしてきた価値観や美意識に出会うことができます。知っているようで知らない日本の姿、その奥に流れる技と心。『国宝』は新しい発見に満ち溢れています。 |

語り手

文化浴の森 主宰|文化浴提唱者
澤野友映(さわの ともえ)
文化財修復の家に生まれ、自らも事業にかかわりながら、2006年より、のべ約1万人に文化財の物語を届けてきました。
その経験のなかで、文化財には人の心身を調える力があることを実感し、「文化浴」と名づけた営みを続けています。
それぞれの歩幅で人生が豊かになるように、文化浴の体験と学びを提供しています。プロフィールを見る→
開催のご案内
この物語は、午前・午後を通して味わう一日の物語としてお届けしております。午前は神護寺。午後は西明寺と高山寺。国宝建築と青もみじに包まれる初夏の京都・三尾を、一日かけて歩きます。
開催日:2026年5月23日(土)
時間:09:00〜17:00頃
集合:阪急大宮駅 東改札口前
解散:阪急大宮駅
参加費:7,000円(回数券2回分)
実費:2,800円(神護寺・西明寺・高山寺)
※本講座は文化財ストーリーテラー養成コースの一環として実施していますが、ご関心のある方はどなたでもご参加いただけます。初めての方でも安心してご参加ください。
※イヤホンガイド付きで実施しますので、聞こえづらいことはございません。
※回数券をご利用の場合は、1回あたり3,000円となります(回数券18,000円【6回分】1年間有効)
この物語は、ご希望の日程でリクエスト開催できます。神護寺のみ、あるいは高山寺のみの物語としてご案内することも可能です。静かに味わいたい方、京都の文化財を深く味わいたい方、研修やご旅行などで、グループでのご案内をご希望される方のための物語です。

