文化財ストーリーテラー 阪口理恵

「一生学び続けながら、
誰かの心にキラッと響くものを届けられたら——
なんて素敵なんだろう」

兵庫県神戸市出身・神戸市在住|阪口理恵

物語のはじまり

私は子どものころから、算数よりも社会科が得意でした。
本を読むことが大好きで、学生時代には歴史の本を夢中で読みあさっていました。

振り返ると、あの頃の体験が、今の私の「文化財ストーリーテラー」という生き方の原点になっているのかもしれません。

大人になってからも、遺跡や寺社仏閣、博物館を訪れることが好きでした。
でも、ただ「見る」だけでは、「なぜ、こうなっているのか」というところまでは、なかなか見えてきません。

そんなとき、偶然、澤野さんが講師をつとめる文化財ツアーに参加しました。

お話を聞きながら神社仏閣を巡るうちに、今まで見えてこなかったものが、少しずつ見えてくる。知らなければ通り過ぎてしまっていたことに気づけるのが、とても嬉しくて、毎回ワクワクしながら帰宅していました。

その楽しさは、ずっと自分の中だけの宝物でした。
けれど京都でガイドをする機会があり、教わったことをお客さまに分かち合ったときのこと。

相手の方がとても喜んでくださる姿を見て、
「この時間を、もっとたくさんの人と味わいたい!」そう思うようになりました。

そして、「文化財ストーリーテラー」という言葉に出会います。
その時、それは、ずっと探していた居場所の名前のように感じられたのです。

ストーリーテラーとして
大切にしていること

「知っているようで、実は知らないことが、世の中にはたくさんある」
文化財と向き合っていると、そんなことをしみじみと感じる瞬間が、何度も訪れます。

新しい発見があって、
「わっ、勉強になります」
と、思わず口にしている自分に気づくとき。
その小さな喜びが積み重なるたびに、一生学び続けられるということが、なんて素敵なんだろうと思うのです。

学んだことは、心の中で少しずつ物語のように編まれていきます。
それを誰かに聞いてもらったり、分かち合ったりすることで、その人の中に、キラッと響く何かが生まれたら——
それが、私には何よりの喜びです。

そんな思いで、私は文化財ストーリーテラーとして歩んでいます。

これから挑戦したいテーマ

翻訳本の制作に向けた探究

翻訳という仕事を生業とする上で、自分の名前で一冊の訳本を世に送り出すことは、歌手でいう「武道館」のような翻訳者としての目標のひとつ。
いつか自分の手で 一冊の本を形にしてみたい——そう強く思っています。

桂離宮とタウトの視点を手がかりにした学び

ブルーノ・タウトが愛した桂離宮。ずっと行きたいと思いながら、まだご縁がありませんでした。タウトの眼差しを追いながら、「あじわう」体験として向き合いたいと考えています。

文化財の多言語ノートづくり

ずっと心の中にあたためてきた構想に、小さくても 第一歩を踏み出したい一年にしたいと思っています。
焦らず、地道に、ひとつずつ。

ささやかな好きなものたち

文化財とは関係ないのですが…
ペンギン、パン屋さん、クッキー、ミルクティーが好きです。
文化財のご案内、鑑賞の合間に、こんな小さな楽しみをはさみながら、さらにご機嫌さんで歩けたらいいなと思っています。

なかでも京都の東寺は、
建築・仏像・天井画・庭園——
それぞれが響き合い、ひとつの世界をつくっているように感じる、私にとって 特別な場所です。

得意・関心テーマ

  • 食べること、食にまつわる文化・暮らしの記憶
  • 台所・食生活・食習慣から読み解く文化財の物語
  • 食器や設え、食モチーフの文様
  • 色や影、光の移ろいを手がかりにした鑑賞視点

何かしらどこかしら食が鍵になるストーリーを見つけて広げよう!…といつも妄想しています♪

阪口 理恵(Sakaguchi Rie)

ドイツ語通訳案内士・翻訳家
文化浴の森認定 文化財ストーリーテラー

京都を拠点に、文化財・食分野を中心とした
通訳・翻訳・ストーリーテリング活動を行っています。