乃東枯(なつかれくさ かるる)—たまには逆向きで生きる

【この記事のポイント】

・七十二候「乃東枯(なつかれくさかるる)」は、ウツボグサが夏至のころに枯れることを表す季節のことば
・他の草が元気になる中、枯れる「逆行の草」
・人間も時には逆行して、ちょっと省エネに心を休めるのも大切
・半年の折り返し、無理せず自分にやさしく過ごそう

目次

乃東枯とは?

二十四節気をさらに3分割して、5日ごとの季節を感じさせるのが七十二候(しちじゅうにこう)。

6月21日~25日は「乃東枯(なつかれくさ かるる)」。ちょっと聞き慣れない七十二候のお話です。

乃東、読めませんよね? わたしも正直、読めませんでした(笑)

乃東(なつかれくさ)って、ウツボグサのことで、冬に芽を出して、夏至のころに枯れる…という、あえて逆を行く、ちょっとしたあまのじゃくな生き物なんです。

他の草木が今からぐんぐん伸びるっていうときに、花穂(かすい)が枯れ、すっかり褐色になってしまいます。

花穂とは、書いて字のごとく、穂のような形に群がって咲く花のこと。

きっと他と逆を行く姿が不思議に見えたんでしょうかね。昔の人は「乃東枯(なつかれくさ かるる)」って呼んで、この時期の象徴にしたようです。

あえて逆を行く

逆行するって、時には人間にも必要やと思いません?

みんなが頑張るからって、自分まで無理して合わせんでも、「ちょっと一人で枯れてみる」くらいの余白があってもええんちゃうかなぁ、て。

半年が過ぎようとするこの頃、
ちょっと省エネで、自分に優しくして過ごしましょ。

ほんで面白いのが、実はこのウツボグサ、ほんまに枯れてるわけやないんですわ。

褐色になるから、枯れてしまったように思われますが、そっと地を這うように、土に足つけて、小さな葉をひっそり広げながら、ちゃんと冬を越して、また春を待つんです。

人間もおんなじやと思います。
見えんところで心を養う時間、ぜったい無駄ちゃいますから。

人とはちゃうところで、ちゃう時に咲く生き方がありますから。

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この記事を書いた人

文化財修復業を営む家に生まれ、一般企業を経て、自らも文化財修復の世界へ。
15年間、数多くの修復に携わってきました。

2006年からは、文化財の魅力をもっと身近に伝えたいという思いで、文化講座をスタート。
これまでに受講された方は、のべ9,500人を超えています。

2016年、「足から健康!心に文化浴」をスローガンに掲げ、文化財を“見て歩く”ことで心と体が元気になる効果に着目し、それを「文化浴」と名付けて、一般社団法人文化浴の森を設立しました。

2018年からは、大人のための学び舎「文化浴大学」にて定期講座を開講。
そして2024年10月には、日本文化を“心から心へ”世界に伝える「文化財ストーリーテラー養成講座」をスタートしました。

文化財を語ることで、人生の後半に新たなキャリアと誇りを持てるように。
同時に、文化財そのものの価値も未来へとつなげていけるように。
そんな想いで、日々活動を続けています。

著書に『ウォーキング&文化を楽しむ京都健康さんぽ』(いろは出版)。

文化の宝と出会い、歩いて深呼吸するように、自分自身を発見する。
そんな時間を大切に、これからも“文化浴”を届けていきます。

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