文化浴ポイント京都編

 

文化財の名称:金地院 弁天池

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都府京都市左京区南禅寺福地町86−12

アクセス:京都地下鉄蹴上駅から徒歩5分

南禅寺の塔頭(たっちゅう)のひとつ、金地院。

塔頭とは大寺院を守っている僧侶やその家族が住む私寺のこと。もとは高僧の没後、弟子が高僧の塔(=墓)の頭(ほとり)に小さな庵を建て、墓を守ったことに始まります。

金地院の中興の祖は、あの黒衣の宰相、以心崇伝。僧侶兼、徳川家康の参謀だった崇伝は、金地院に家康の遺髪と遺言を祀る東照宮を建て、京都から徳川家の安泰を祈る聖地にしました。寺の随所に、徳川家への想いが、デザインに表れています。

東照宮へ誘われるように、弁天池があります。因みに弁天とは、弁財天のこと。琵琶を弾く天女の姿で、美しい女性のことを意味します。

滞在時間の目安:10分

 
 

【雨の古都は、いと、うつくし。】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

「モネの睡蓮みたい!!」思わず感嘆!

拝観ルートの冒頭、明智門の向こうに広がる弁天池。
その日は雨。雨に濡れた弁天池が可愛らしく、しとやかに、お出迎え下さいました。

まるで琵琶のようにふっくらと円い池。弁天さんの愛らしい頬のように、ポッポと咲く睡蓮。

緑の色を繊細に感じてみたくなって、和の色辞典と照らし合わせてみる。
薄萌黄、萌黄、鶸萌黄、常盤色、青磁色・・・光や陰も相まって、多様な緑に包まれている幸せを実感。遠い昔、和色の名付け人の心にも、近づいた気がしたり♪

弁天池や緑に惚れ浸りながら、そのぐるりを時計回りに歩いて・・・気づけば東照宮へ誘われていました。

梅雨の京都は最高。名所でも空いているし、しとやかな美しさに浸れる季節ですもの♪

訪問日時:2017年6月 7日 記:ともえ

 
 

文化財の名称:キンシ正宗 堀野記念館の奥座敷

文化浴の種類:たてもの浴 産業

所在地:京都市中京区堺町通二条上ル亀屋町172

アクセス:京都市営地下鉄丸太町駅7番出口から徒歩約10分

酒造メーカー「キンシ正宗」の創業の場所、堀野記念館。

1781年創業。
この地で100年にわたり酒作りを営んでこられました。
現在は伏見の地に酒造拠点を移されていますが、創業以来の蔵元である堀野家はこの地を大切に維持保存され、1995年に酒屋の歴史と町家文化を伝えるため、一般公開を開始されました。(拝観料300円)

2階の奥座敷は、堀野家にとって大切な顧客をもてなすお部屋。
芸妓、舞妓も派遣され、舞いや歌が提供されていました。美しい彼女たちを引き立たせるために襖や欄干には一切の絵や彫刻が、施されていない点もこの部屋の特徴です。

滞在時間の目安:10分

 
 

【堀野記念館 名残を慈しむ奥座敷】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

キンシ正宗・堀野記念館2階の奥座敷。
薄暗い室内に当たる西日が、まるでスポットライトのように美しい。
この部屋の隣には、芸妓さんや舞妓さんが舞いを披露したという、鞘のように細長い鞘の間がある。

部屋はいたってシンプル。そして品がある。
舞妓さんたちの美しさを引き立たせるため部屋のつくりは端正でシンプル、これが当時の京町屋の美意識である・・・と。

当時の華やかな宴の名残りが、日暮れのぬくもりに漂うようでした。
窓辺の細い廊下もとても美しい。

静かに、そしてお行儀よく佇みたくなる、そんなお部屋でした。

訪問日時:2017年5月20日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:善導寺 魅惑の龍宮門

文化浴の種類:たてもの浴 寺院

所在地:京都市中京区二条通木屋町東入ル東生州町533

アクセス:京阪電鉄三条駅より徒歩約15分

木屋町二条の東側にある浄土宗知恩院派のお寺、善導寺の山門は、特徴的な龍宮門。竜宮門というのは楼門の一種で、中国・明朝の建築様式を取り入れた1階部分が漆喰で塗り固められた台形になっている門を言います。

そう、あの浦島太郎の絵本に描かれている竜宮城の門です。

善導寺は正式には真光明院善導寺。
永禄年間(1558~1569)に六角堂付近に建立されましたが、天明八年(1788年)の大火によって焼失、その後第4旭誉上人が長谷川重兵衛の寄進を受けて現在の場所に再興しました。

滞在時間の目安:3分

 
 

【絵になる魅惑の龍宮門】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

コンパクトにしてスタイリッシュな存在感。
それでいて、アーチ型の通路がとても優しくて美しく魅惑的な善導寺の龍宮門。
街中にシュッと構えられています。
 
私はなにが好きかというと、やはりアーチ型の通路です!
まぁるいカーブがとても印象的で、向こうの景色がとても優しく映ります。
 
訪れた日は新緑が太陽に照らされて、キラキラととても美しかったです。
しばし見とれてしまいました。
 
異国情緒も感じられるこの美しい門。
美的センスが磨かれそうです。
 
境内にはなんとエステサロンもあるのだとか!

訪問日時:2017年5月20日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:本満寺 金色の桜の下で

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都府京都市上京区寺町通今出川上る2丁目鶴山町16

アクセス:京阪出町柳駅から徒歩10分

私がこのお寺へ訪れた最初は、15年前頃。境内の奥はジャングルのようで玄関前にはトイレがドンとあり、その横には小屋があって人が住んでいました。

今年91歳を迎えられる住職伊丹栄彰貫主が平成10年に本満寺に晋山されてから、コツコツと自ら手間と時間をかけて、庭や墓地を整備されました。―すると、桜の存在が際立ちはじめ、プロの写真家やテレビが桜を取り上げ、今では早咲き桜の隠れ名所となりました。これは平成26年3月27日の様子。おそらく今年も、この一週間で見頃になることでしょう。

「桜が輝きだした。いや、元来持っていた輝きを私たちが感じ取れるようになったというべきでしょう。―嬉しいことに、桜の輝きに多くの方々が集いはじめました。子供からお年寄りまで。―そして、その美しさで皆が笑顔になって帰ってゆかれる。この桜の輝きが、私には眩しい金色の光に感じられるのです―」(貫主伊丹栄彰著 『紹継 金色の桜の下で』)

滞在時間の目安:10分

 
 

【本当の「美」に満たされる本満寺】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

ここは私にとって捨て置けない、深くて不思議なご縁のあるお寺。私の祖父母やそのまた先の、いつも計り知れない領域から私がこの世に存在している理由と生き方を、何らかのカタチで示唆してくれる・・・そんな偶然に偶然が重なる不思議なエピソードがあるのです。その話はまたどこかでするとして。

ユーモアたっぷりでお茶目な栄彰貫主が大好きです。何より住職には「美」の真髄を感じます。それは桜が咲いてない時でさえも、いつも。とにかく「美」にこだわりがある住職ですから、部屋の中も乱雑に置いたものは気になるそうです。それゆえに、庭のみならず、いつもご本人もお部屋もピシッと美しい。訪れるたびに年々「美しく」様変わりしてきた本満寺の桜とその境内には、住職の「心」と「手間」による、本当の「美」を感じずにはいられません。

訪問日時:2016年3月26日 記:ともえ

 
 

文化財の名称:知恩院方丈庭園から山亭への道

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都市東山区林下町400

アクセス:市バス知恩院前から徒歩10分

京都名書院と謳われる知恩院大方丈と小方丈。周囲にめぐる方丈庭園は江戸時代初期に僧玉淵に作庭されたと伝えられる池泉回遊式庭園。方丈庭園は拝観料400円。知恩院方丈庭園と山亭を繋ぐ道。方丈庭園の東側にある狭い道を登ると、山亭に続く門がある。山亭は霊元天皇の皇女、浄琳院宮吉子内親王のお住まいを移築したもので、京都の町並みが一望できる。

滞在時間の目安:3分

 
 

【開放感の前に味わう佇まいの美しさ】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

急にひっそりと静かな空気に。
木漏れ日の中に佇む門に向かって、ゆっくりと歩きます。
自分だけの秘かな、お気に入りの場所を見つけた気分です。

ひっそりとした小さな門。
心惹かれるのは、その佇まいの美しさにあるのだと、改めて感嘆。
あらゆるものを受け入れる懐の深さと、本当の豊かさを知るものだけが醸し出せる、そんな佇まい。
私もそんな佇まいを醸し出したい・・・

そのあとに広がる山亭庭園からの、開放的な京都一望の景色とのギャップ。
それがまた素晴らしい。

訪問日時:2016年11月 3日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:大蓮寺の花蓮

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都府京都市左京区東山二条西入一筋目下ル457

アクセス:地下鉄東西線東山駅から徒歩10分

大蓮寺。お寺の名前そのままに、たくさんの大きな花蓮の鉢が本堂前にあります。

健脚、安産祈願のお寺でもあり、ウォーキングで健康美を目指す女性には、ぜひ訪れて頂きたいお寺。特に蓮の花が咲いている時期がおススメ。仏教では蓮は泥の中から美しい花を咲かせることから菩薩の修行になぞらえたり、極楽に咲く悟りの花とされています。

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という中国の成句がありますが、その葉は水を弾く能力に大変優れ、決して濡れないそうです。あの美しさの秘訣は「弾力」というわけです。ガチガチではなくフニャフニャでもない。まるで蓮の葉のような弾力のある美しい心身が、中庸なる悟りの姿なのかもしれませんね。


滞在時間の目安:10分

 
 

【しなやかな心身を手に入れる】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

私が訪れた5月は残念ながら蓮の花は咲いていなかったのですが、大きな蓮の葉に雨粒がたまり、美しい水滴となって存在感を醸し出していました。

花が咲いていないからもういいか・・・と通り過ぎそうなところを、ちょっといつもより意識して、色んなものを眺めてみると、透明感がある美しい水滴を見つけました。「自分が見つけた~」という嬉しい気持ちになりました。

泥水と気品溢れる蓮の花は一体なんだと鉢を眺めて思えてきます。たくさんの苦労や努力があるからこそ、人も輝けるのだと考えると、蓮の花は仏教と深く関わりがあるのも納得かも・・・と、よくわからないながらにも感じました。

蓮の花が咲く時期にまた必ず訪れて、今度は華やかな美しさを見て、色々感じたいです。

訪問日時:2015年5月17日 記:あやこ

 
 

文化財の名称:高桐院の参道

文化浴の種類:庭園浴 寺院

所在地:京都府京都市北区紫野大徳寺町73―1

アクセス:大徳寺前バス停から徒歩10分

大徳寺塔頭・高桐院(こうとういん)の参道。約50メートルの石畳と苔と竹垣の参道は、真っ直ぐ凛としていて美しい。

参道とは物語のつかみ(プロローグ)であると同時に、結び(エピローグ)でもあって・・・。単なる道とは違い、社寺の第一印象を担う大切な空間。

高桐院の開基(創立者)は細川忠興(ただおき)。客殿からの楓の庭は春夏秋冬に美しい。忠興の妻はクリスチャンで有名な細川ガラシャ。夫妻が共に眠る墓は、千利休の遺品である灯籠。灯籠の裏には利休が意図的に付けたという傷がある。

滞在時間の目安:5分

 
 

【背筋がピン!凛と美しく・・・】

-こんな時に訪れてみよう!- (美に包まれたい)

参道の美しさに息を飲んだのはここが初めてです。本堂へと向かう高揚感をさらに高めてくれます。

ファッションショーのランウェイさながらの真っ直ぐなこの参道には背筋が伸びた美しい人が似合う。そんな品のある凛とした美しい人に少しでも近づきたいと思いながら、ゆっくりと歩きました。

だら~っとしていた気持ちも一気にシャン!となります。私には「癒し」というよりは「綺麗で品のある人になる」というスイッチを入れるに相応しい場だと思いました。帰り際にもう一度参道を通るとき、また違う季節の美しさを味わいに来ようと思いました。

味わって歩いて3~5分。他に人がいるときは迷惑かからないように。高桐院の中はゆっくりとご自由に。

訪問日時:2016年2月28日 記:あやこ

 

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