文化財の名称:平等院鳳凰堂 阿字池
文化浴の種類:庭園浴 寺院
所在地:京都府宇治市宇治蓮華116
アクセス:JRまたは京阪電車宇治線「宇治駅」より各徒歩15分
平等院は永承七年(1052年)、時の関白藤原頼通によって父道長の別荘を寺院に改め創建されました。
1052年は、釈迦入滅から年代が経つにつれ、正しい教法が衰滅することを説いた末法思想の末法の元年に当たる年。
その翌年の天喜元年(1053年)阿字池を中心に阿弥陀如来を安置する阿弥陀堂が建立されました。
阿字池は西方浄土を具現化した庭園といわれています。鳳凰堂の周囲に広がる池で、宇治川や対岸の山々を取り込んだ雄大な借景とともに、名園として名高い史跡名勝平等院庭園を形づくっています。
【阿】とは梵語で不生不滅を意味する言葉で、永遠の象徴、すなわち極楽浄土の池ということになります。
滞在時間の目安:10分
【心を映すほぐす元気にする阿字池】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
1000年近くも前から存在する平等院鳳凰堂。
私たちは長生きして100年生きたとして、10回私の人生を生きれる時間。
そのとてつもない時間を人の手によって守られてきたものがここにありました。
お寺や神社、文化財に感動するのは何も建物が仏像が庭園がすごい!圧巻!だからだけではないと思います。
誰かが誰かにずっとずっとつないでいくもの、がずっとずっと続いていく。
いや、この鳳凰堂はとにかく圧巻なのですけれど。
圧巻がゆえにずっとずっとつながれてきた歴史を感じずにはいられないのかもしれません。
阿字池の水面に映る青空と鳳凰堂が美しく、
心もクリアになり、日々の疲れもふうっとどこかに消えていきました。
不生不滅。始まりも終わりもないこと。
私たちは日々、始まりと終わりにまみれています。もっと壮大に物事を見ることができたなら、もっと楽に生きられるのかな、と悟りの境地にはまだまだ遠い私でした。
訪問日時:2018年8月18日 記:あやこ
文化財の名称:黄檗山萬福寺 開梛(かいぱん)
文化浴の種類:アート浴 彫刻
所在地:京都府宇治市五ヶ庄三番割34
アクセス:JR奈良線または京阪宇治線「黄檗駅」より徒歩5分
黄檗山萬福寺の斎堂前にある魚板。
開梛(かいぱん)の腹を打ち、日常の行事や儀式の時報を告げる時計の役目をしていて、木魚の原型となっているものです。
開梛が口に加えた玉は、三毒(さんぬ)と言われる煩悩のことで、腹を打つことで煩悩が吐き出されるという意味合いだそうです。
三毒とは【貪(とん)】(貪欲、必要以上に求める心)、【瞋(じん)】(怒りの心)、【痴(ち)】(真理に対する無知、おろかさ)のことで、仏教において克服すべきものとされる根本的な三つの煩悩のこと。
滞在時間の目安:5分
【煩悩はためこまずに吐き出すべし!】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
誰にでもあると思います、煩悩。
私も煩悩たくさん出てきます。
あれもこれも!と許容範囲以上に欲張ってみたり、
冷静に一呼吸をおけず勢いで文句を言ってしまったり、
自分で真意を確かめず知らぬままだったり
それもまたにんげんだもの、とも思いますが、やはり溜め込まない方がいいに決まってる。
そこでこちらの開梛(カイパン)くん。
大きいです。
三毒の玉をくわえて吐き出そうとがんばっています。
私も自分のお腹をポンッと叩いて、煩悩を吐き出せたらどれだけいいでしょう。またそんな手抜きなことを考えながら、売店で買った枝豆の餡が入ったお餅を美味しくほうばりつつ萬福寺をあとにしました。
煩悩を溜め込まないよう、時々カイパンくんを見に来て、上手くつきあっていけたらいいですね。
訪問日時:2018年1月27日 記:あやこ
文化財の名称:下鴨神社 参道
文化浴の種類:庭園浴 神社
所在地:京都市左京区下鴨泉川町59
アクセス:京阪電車出町柳駅より徒歩10分
世界文化遺産・下鴨神社=賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)の参道。本殿まで約一キロ。
その参道に広がる糺の森は、およそ12万4千平方メートル、東京ドームの約3倍。
古代より続く原生林は、神秘的な空気が漂います。
多多須玉依姫(ただすたまよりひめ)の気配、賀茂川、高野川、鴨川の三角只洲(ただす)、森に湧く清水は直澄(ただす)みわたり・・・。
「糺す」とは、「正す」と同じ語源で、物事の是非を明らかにしたり、罪の有無を追及するという意味があります。
都の鬼門に位置する糺の森は、その名の通り、古来、偽りを正す禊ぎの聖地として信仰されてきました。
現在も、糺の森の傍らに京都家庭裁判所があるのは、何か関わりがあるのでしょうか?
滞在時間の目安:20分
【私の年月と共に歩む道】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
言わずと知れた下鴨神社。
私が若いときから大好きな神社です。
そして、そのなかでもお気に入りはその参道。
神社やお寺の参道が好きな私ですが、ここはいつも特別な気持ちになります。
木々に囲まれた本殿へ続くその道を何十回と通ってきましたが、毎回毎回違う顔を見せてくれます。
季節や天気、気温、参拝する人々の空気感などの違いもありますが、それは私の気持ちが毎回違うからかもしれません。
初めての車を買って、初めて遠出をしたのも朝早くの下鴨神社でした。
道が混む前の朝早くに、と初心者マークの運転に怯えさせながら、母親と一緒に参拝した日。とても清々しくて清らかな気持ちになりました。(帰り道の運転の心配はありましたが・・・)
好きな人とデートで歩いた思い出。楽しくてとても満たされた嬉しい気持ち。
自分の流れを変えたくて、下鴨神社に参拝するだけのために一人京阪特急に飛び乗ったこと。はやるようなドキドキするような気持ち。
いろんな気持ちを味わいながらも、この参道を歩くとほっとするような、それでいて自分を見つめ返せるような。行きと帰りではまたずいぶんと気持ちに変化も訪れます。
きっと誰にでもそんな場所があると思います。
どんな場所であれ、そんな場所こそ自分だけの心の文化財なのかもしれませんね。
訪問日時:2017年11月25日 記:あやこ
大雲院 祇園閣【№0052】
文化財の名称:大雲院 祇園閣
文化浴の種類:たてもの浴 寺院
所在地:京都市東山区祇園町南側594-1
アクセス:京阪祇園四条から徒歩10分 阪急河原町駅から徒歩15分
ここは元財閥大倉喜八郎男爵の別荘地。
昭和3年、大倉喜八郎が金閣、銀閣に次ぐ銅閣を建てたいと、建築家・伊東忠太に設計を依頼。そして完成したのが祇園祭山鉾の姿をデザインにされた祇園閣。頂部までの高さは約36m。鉄筋コンクリート造の3階建。屋根は銅葺き。
伊藤忠太は怪獣好きで有名な建築家。塔内は自由な発想のデザインで、珍獣あり。後年、この地へ大雲院が移転され、その際に阿弥陀如来像が安置され、葛新民による敦煌壁画の模写も施されました。
内部は普段非公開ですが、時々特別公開されます。
滞在時間の目安:10分
【一年中見られる山鉾】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
八坂さんから清水寺を目指し歩く、お気に入りの散歩コースをテクテク♪
途中にあるのが何を隠そう!この『祇園閣』。大雲院の合間からまっすぐ伸びている鉾先が見えます。
愛してやまない祇園祭の山鉾が一年中見られるなんて!
しかも、数年ぶりだという特別公開のこの日は、閣上まで上がることができるというではありませんか!少々興奮気味に中へと進んで行くと...
「圧巻!!!」
この一言につきます。
夏の山鉾“動く美術館”に対してこちらは動かずとも、内部の壁画はまるで美術館。瞬く間に魅了されます。
そして、上下左右の壁画に目を奪われつつも閣上に到着するとまたまた感動が!
京都市内をぐるりと一望でき、とても贅沢な時間を過ごすことができます。
大雲院を出てからも、名残惜しくしばらく鉾先を見つめ一人思う。
この広い空に向かってまっすぐ、堂々と少しもブレることなく、雨の日も雪の日もここにそびえ立っているのかと思うと、自分の中にある迷いがどこかへ消え去り、何か後押しされたような気持ちになりました。
「よし、これでいいんだ。」
この日を境に、私の散歩コースはただの散歩ではなくなり、ここを歩く度自分の中の何かが変わっていくような気がするのでした。
訪問日時:2017年9月26日 記:あさみん
文化財の名称:文子天満宮 多治比文子の像
文化浴の種類:アート浴 仏像
所在地:京都市下京区間之町通花屋町下ル天神町400
アクセス:京都駅から北へ徒歩約10分
祭神に菅原道真を祀る、天神信仰発祥の神社であり、北野天満宮の前身の神社です。洛陽天満宮25社のひとつに数えられています。
道真の乳母であった多治比文子(たじひのあやこ)が、道真亡き後に「われを右近の馬場に祀れ」との道真の託宣を受けて、当時貧しかった文子は、右京七条二坊の自宅に祠を立てて祀ったことが始まりとされています。
その多治比文子の銅像が境内に立てられています。
滞在時間の目安:5分
【文子さんの包み込む優しさ】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
そのお顔を眺めていると、心から優しくて、そして芯はとても強い女性だったのだろうと想像します。
多治比文子様の像はとてもきれいで穏やかなお顔立ちをされています。
道真公の乳母だったという説と、幼い童女だったという説があるそうです。
乳母というにはこの像は若すぎる感じは否めませんが・・・。
道真公を神として祀り、後世私たちまで受け継がれてきている天神信仰を発祥させた女性というからには、この穏やかで優しいお顔立ちからは予想もしない強い祈りや想いがあったのだと思います。
境内は小さな神社で、とても落ち着きます。
「文子守り」や「縁結びね貝(願い)守り」など、お香のいい香りのするお守りもとてもかわいいので、おすすめです。
なにはなくとも、私と同じ名前の「あやこ」さま!
気分が滅入ったとき、節目のとき、なぜだかお会いしにお参りに行きたくなります。
とても特別な気持ちになる、私の大切な場所です。
「あや・あやこ」さんはもちろん、訪れるみんなを包み込んでくれる静かで穏やかで優しい空間です。
訪問日時:2017年5月29日 記:あやこ
文化財の名称:高瀬川 一之舟入
文化浴の種類:まちかど浴
所在地:京都府京都市中京区一之船入町
アクセス:地下鉄東西線市役所前駅から徒歩5分
高瀬川は京都の中心部と伏見を結ぶ全長約11㎞の運河。
車も電車も無い時代、沢山の荷物を一番楽に速く運ぶ手段は水運でしたから、江戸初期から大正期にかけての約300年間、高瀬川は京都の物流基盤でした。伏見には伏見港があって、そこから淀川を経て大阪へ、大阪湾から全国へと繋がっていたのです。
高瀬川を作ったのは足利家お抱え医師の家系であり豪商の角倉了以。今のお金にして約150億円の私財を投じて開削。代りに船賃を徴収することで、短期間で資金回収し、莫大な利益を得たといいます。
船入りとは舟荷の揚げ降ろしをする船の停泊所のこと。
滞在時間の目安:10分
【人生ドラマを運ぶ川】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
学生、海外旅行者で賑わう飲み屋街木屋町も、この辺りまで来ると穏やか。
高瀬の水面を見ていると、ここから伏見、大阪、全国、海外へと、思いを馳せて開削した角倉了以の知力体力溢れる逞しさが伝わってきます。また高瀬舟を見ていると、国語の時間に読んだ森鴎外『高瀬舟』を思いだして、生き死にをふと感じます。
元長州藩邸の停泊所だった一之舟入を眺めていると、舟の引手の掛け声と共に、幕末の志士たちが、この木屋町を駆け巡ったルートが浮かび上がってくる気がします。
300年の働きを経た今、高瀬川はモノではなく、川辺に憩う私たちに、人生ドラマを運んでくれているのかもしれません。それぞれの人生に与えられたテーマに一生懸命に立ち向かい、がんばって生きた人々のドラマを。
さぁ私も今を生きよう!がんばろう!と、私に力をくれる高瀬川一之船入。今はちょうど桜が見頃。
訪問日時:2017年4月 6日 記:ともえ
文化財の名称:知恩院 智慧の道
文化浴の種類:庭園浴 寺院
所在地:京都市東山区林下町400
アクセス:市バス知恩院前から徒歩10分
知恩院の原点は、法然上人終焉の地である勢至堂。この階段道は、勢至堂と法然上人のお遺骨が納まる御廟へと続く階段。
仏さまの智慧(ちえ)を頂いて、老若男女すべての人が正しく仲良く生きることに通じる道と言われています。人生の疲れを癒し、生きる尊さ、喜びを素直に頂くことができる道。(案内文より抜粋)
一見ハードに見えるこの階段。登ろううという人は少ないがゆえに、まさに穴場。
登るのは下から見える段数だけですから♪
滞在時間の目安:5分
【ゆっくり核心に近づく道】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
知恩院三門から大きく重みのある「男坂」を登ってきた後で、この静かな「智慧の道」を登った私は、石段は石段でも、感覚が違うことを感じました。ひとけも少なくなり、ふっと落ち着く空間です。石段が始まる左側に法然上人像があります。
何か・・・「自分なりの答えを探していらっしゃい」と言ってくださっているような気持ちになりました。
男坂のように一段一段踏ん張って頑張って上るのとは違って、こちらは一段一段ゆっくりと、何か核心へ近づいていくような静かな高揚感を感じます。そして心地良い風が吹いた時、ふっと背中を押してもらえた感覚になって、また気持ち新たに頑張っていこうかな~と前向きになりました。
勢至堂・御廟のお参りを終え、再び智慧の道を通る時、法然上人の背中が穏やかに迎えて下さりました。
訪問日時:2016年11月 3日 記:あやこ
文化財の名称:青蓮院 小御所の廊下
文化浴の種類:たてもの浴 寺院
所在地:京都市東山区粟田口三条坊町69―1
アクセス:地下鉄東西線東山駅から徒歩15分
江戸時代の御所の小御所を移築された。華頂殿から眺める庭園とはまた違った景色が楽しめる。
滞在時間の目安:5分
【クールダウンできる美しい廊下】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
青蓮院門跡の庭園は有無を言わさない美しさですが、私はそのお庭に沿った廊下もまた風情があり美しいと思うのです。
この小御所に限らず、堂内の各所廊下も美しい。庭園を眺められるからなのか、薄暗い中での光の加減が美しいからなのか・・・自然と背筋をスッと伸ばして歩きたくなるのです。
池の水面に映る空と木々を眺めていると、日々の気忙しい気持ちが少し落ち着いてきます。
歩くだけでなく、ふっと立ち止まって景色を眺めながら、普段の自分を省みたい時のための廊下なのです。
訪問日時:2016年11月 3日 記:あやこ
文化財の名称:松尾大社の天狗
文化浴の種類:たてもの浴 神社
所在地:京都府京都市西京区嵐山宮町3
アクセス:阪急松尾大社駅から徒歩5分
遥か昔・・・世の中がもっとシンプルだった時代。神といえば、山や海など、自然そのものでした。
ここ松尾山は平安京ができるもっと以前から、人々に山の神として崇められてきた聖地です。今もなお、アニミズムの香り高く、精霊の存在を感じる文化浴空間。
是非とも訪れていただきたい場所が、亀の井の奥にある“霊亀の滝”。マイナスイオンがたっぷり!そしてそして・・・滝に向かって左には、立派なお顔の天狗様がいらっしゃいます。岩肌にお隠れになっているので、目を凝らして見つけて下さいね。
滞在時間の目安:10分
【自分の心が映る、天狗の顔】
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
-こんな時に訪れてみよう!- (自分をみつめたい)
私の産土神、松尾大社。お宮参りから七五三、初詣・・・松尾大社境内のベンチは、私の原点であり、永遠の拠り所。
ベンチから眺める松尾山の緑青は、日常の疲れをすべて洗い流してくれます。そして時々、霊亀の滝を護る天狗様に逢いに行きます。天狗様は山神と深い繋がりがあるそうな。民間信仰として伝承されてきたゆえに、その姿は神であったり妖怪であったり・・・多岐に亘ります。
だからでしょうか?霊亀の滝の天狗様、その時々で、不思議と表情が違うように感じるのです。ある時は穏やかな神のようだったり、ある時は怪しげな目つきだったり・・・勇ましかったり、滑稽だったり。
ふと思いました。天狗のお顔は、今の自分の心を映しているのかも・・・。もしくは、今、自分に必要な心を表しているのかもしれないと。以降、天狗のお顔に、今の自分への気づきを頂くようにしています。
訪問日時:2016年10月 7日 記:ともえ
メルマガ「文化浴の森情報便」最新情報をお送りします!
文化浴の森のメールマガジン『文化浴の森 情報便』は、京都の奥深い文化に触れてみたい!一生美しく元気に歩き続けたい!そんな健康に前向きで、京都が好きな人のためのメールマガジンです。